育種のちから #4
わが国における種苗産業の市場規模は一般的な統計資料はないものの、おおむね2000億円から3000億円程度と推計されている。また、わが国の品種の登録出願数は年間1000件を超える水準で推移している。平成23年の出願件数では植物の新品種の保護に関する国際条約を締結したUPOV加盟国の中でEU、米国、中国に次ぐ第4位であった。登録件数においてはEUに次ぐ第2位となっており、日本は育種大国である。
登録された品種の数は,平成26年末現在で24,275件となっている。作物別にみると、草花類が61%と最も多く、鑑賞樹17%、野菜7%の順で多い。権利者の累計型で見ると、種苗会社が53%、個人育種家が27%、都道府県等が10%の順となっている。種苗会社が大半を占めていると感じていたが個人育種家たちが全体の4分の1も占めていることに日本の育種技術の発展が大いに期待できる。
一方、農林水産省は総合的なTPP関連政策大綱として、①生産者の不安の払拭と②成長産業化に取り組む生産者がその力を最大限発揮することを柱として、農政新時代を創造していくことを進めている。その取り組みにおいて生産者たちの先行きが見えない中、日本の農業が生き残っていくための手段が必要である。その一つとして知的財産である“育種のちから”を活用して産地を形成していくことが必須だと考えられる。
山下 雄 / 技術士(農業部門)/ IPEA 国際エンジニア / APECエンジニア
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